「仲林くん、ごめん。それ、夢じゃなくて私が― ―……」
「あーっ!在原さんっ!今何時?」

謝ろうとしたら、仲林くんが急に大声を出してガバッと起き上がった。


「え、っと。8時前だけど……」

「うそ、ヤバい。今日、朝一でミーティングだった」

「そ、そうなんだ?」

「うん、そう。だから、急ぐね!」

そう言うと、着替えを持ってバタバタとバスルームに走っていく。


「あーっ!」

すぐにバタンとドアが閉まる音がしたと思ったら、今度は大きな叫び声が聞こえてきて驚いた。

何事かと思ってそっと廊下を見ると、バスルームのドアを開けてそこから顔を出した仲林くんと目が合う。



「在原さん、俺の洗濯物知らない?昨日、干した記憶ないんだけど……」

「あぁ、それ。私が干しといた」

「そうなんだ。ごめんね、ありがとう!お詫びに、今度代わりに干してあげるから、いつでも言ってね」

寝起き付きの爽やかな笑顔でそう言ってから、仲林くんがバタンとバスルームのドアを閉める。