居候同期とフクザツな恋事情




会社が寮として借り上げている部屋は、このマンション以外にも近隣にいくつかある。

だけど、実家が遠方で住宅手当を必要とする私の代の同期のほとんどはこのマンションに住んでいた。

同じマンションに住んではいても、みんなフロアはバラバラだから、個人的に連絡でも取り合わないと滅多に顔は合わさない。

だから実際のところ、同期の何人くらいが同じマンションに住んでいるのかはっきりとわからないのだけど。

仲林くんとは、これまで数回エレベーターで乗り合わせたことがあった。

私が住んでいるのよりも上の階から降りてくる仲林くんに、軽い会釈はしたことがある。


そんな彼が、今はスーツケースを抱えてなんだか挙動不審だった。


「これから旅行でも行くの?」

仲林くんの持っているスーツケースは、2週間の海外旅行にでも行くんじゃないかと思うくらい大きい。

今日は日曜日だから、明日から有給でも取得しているんだろうか。