「仲林くんが食べるとき、ひとくちだけでいいから味見させてよ」
「やだよ」
仲林くんが素っ気なく拒否してダイニングテーブルに座る。
そのままひとりでドゥーブル・フロマージュの蓋を開けようとし始めたから、私は必死でそれとの交換条件を考えた。
「待って。ひとくちくれるなら、餃子焼いてあげる」
冷凍庫にしまうつもりだった冷凍餃子をチラつかせると、仲林くんの動きが止まる。
「ほんとに?」
どうやら、興味を引けたらしい。
「うん、ほんと。10分で用意するから、待ってて」
私がそう言うと、仲林くんが蓋を開けかけていたドゥーブル・フロマージュをコンビニ袋の中に戻す。
やった。交渉成立。
私は急いでキッチンに走ると、仲林くんの気が変わらないうちに冷凍餃子を焼いた。
さっきとは別のフライパンを取り出すと、餃子を丸く並べて、外袋に書いてあるとおりに調理する。
そうすると、綺麗な羽根付き餃子に仕上がった。



