仲林くんに言われて、そういえば…と思う。
朝バタバタしていたから、エントランスキーのことをすっかり忘れていた。
うちのマンションは、玄関とエントランスのキーがセキュリティーの関係上別なのだ。
ふと見ると、仲林くんの手にはコンビニの買い物袋が握られていて、そこにはいくつか食料が入っている。
スマホで時間を確かめたら、今は22時少し前。彼がいつ帰宅したかは知らないけれど、どうやらまだ夕食を済ませていないらしい。
自分はちゃっかり松野くんと食事を済ましてきた手前、なんだか少し申し訳なくなった。
「そういえば、エントランスのキーはスペアを渡してなかったね。先に帰ってたなら、連絡してくれたらよかったのに」
「そんなこと言われても、在原さんの連絡先知らないし」
仲林くんが不貞腐れたようにつぶやくのを聞いて、そういえば私も知らないわ、と初めて気付く。
昨日の夜も今朝も、バタバタしてたし。



