勢いよく飛んで行ったティッシュ箱は、仲林くんがさっとバスルームのドアを閉めたおかげで、彼には命中しなかった。
ティッシュ箱が玄関先の床に落ちたところで、またバスルームのドアが開いて仲林くんが裸のままで上半身をのぞかせる。
「在原さん、タオル」
「だから、裸で出てこないでってば!」
「だって、タオルの場所わかんない……」
「洗濯機の棚の上!どれでもいいから適当に使って」
仲林くんから顔を背けてそう叫ぶと、バスルームの入り口が見えないように寝室側に避難する。
別に男の人の裸を初めて見るってわけじゃない。
私は兄と弟に挟まれた3人きょうだいの真ん中っ子だから、むしろ見慣れてる。
だけど、視界から消えたにも関わらず、仲林くんの濡れた身体が妙に鮮明に瞼の裏に思い出された。
なんだかんだで、2ヶ月の同居を了承してしまったけど。
たった2ヶ月とはいえ、一緒に住むってことは、こういうハプニングがこれからも起こり得るんだ。
気を抜けば瞼の裏にちらつこうとする仲林くんの濡れた裸の残像を、脳内から必死に追い払う。



