居候同期とフクザツな恋事情




「心配してくれてるんだね。早く帰ってあげなきゃ」

「うん。まぁ、たまにウザいけどね」

皮肉な言葉とは裏腹に、絢子の頬が嬉しそうに少しだけ緩んでいるのがわかる。

その表情が幸せそうで、羨ましいなと思った。
 

「申し訳ないけど、私はここで抜けるね。滝宮さんも、お疲れ様です」

「お疲れさま」

「あ、芽衣。進展あったら結果報告してよね」
 
私にこそっとささやくと、絢子は他のメンバーよりもひと足先に店から出て行った。

絢子が帰ってしまうと、向かい合って座る私と滝宮さんの間に妙な沈黙が流れた。


「俺も、あと10分くらいしたら行こうかな」

しばらくして、再び腕時計に視線を落とした滝宮さんが、独り言みたいにつぶやいた。


「誰かと約束でもあるんですか?あんまり飲んでないですよね?」 

滝宮さんの手元にあるウーロン茶のグラスを見つめながら、永田さんと以前彼とふたりでいるところを見かけた元カノらしき女性の顔の両方を思い浮かべる。