「酔ってるでしょ?」
「わかんない」
イオが私の手をつかむ指にきゅっと力を入れた。
「わかんないけど、メェちゃん、帰ってくるまでひとりで落ち着かなくて。だから一回だけ、優しくギュッてして?」
少し掠れた、イオの甘えるような声に、胸がドクンと大きく高鳴る。
同時に、永田さんのことで私にこんなふうに縋りたくなるくらい弱っているのかと思ったら、複雑な気持ちになった。
「嫌だよ、酔っ払い」
動揺で震えそうになる声を誤魔化すために顔をしかめたら、イオが不満そうに僅かに頬を膨らませた。
「酔っ払いじゃない!」
「いや、酔っ払ってるよ。明らかに言動おかしい」
「じゃぁ、もう、勝手にギュッてする」
むっとした顔で見上げてきたイオが、いきなり私の手を強く引っ張る。
「え?」
小さく声をあげたときにはもう、私の身体はイオの腕の中に落ちていた。



