「そんなの、俺が知るわけないじゃん。美玲、滝宮さんに遊ばれてんのかな……」
青ざめた顔のイオがボソリとつぶやくのを聞いて、私は自分の無神経さを反省した。
「まだわかんないよ。あの女の人、滝宮さんのお姉さんとか妹かもしれないし」
「そうかな。あの店ってデートで使うようなちょっといいレストランだよな」
「ほら、私も兄がいるけど。たまに実家に帰ったときに、『高級ディナー奢れー』って無理やり引き摺り出したことあるよ」
「でもなんか、そういう雰囲気じゃなかったよな。あの人、滝宮さんに腕絡めてたし」
「腕なら、私も冗談でイオに絡めたよ。ほら」
わざともう一度イオに腕を絡めてアピールしてみたけど、イオは全く私の言葉に反応してくれない。
あたりまえだ。
滝宮さんのほうに歩み寄る女の人。その瞬間を一緒に目撃した私だって、ふたりは『特別な関係』なのかもしれないって。そんなふうに感じたんだから。



