そんなこんなでなんだかんだ思うところはあるけど、あたしはあの二人から離れられない。

今更離れたところで、新しい仲良しグループなんて作れるはずないし。

だったらこのまま我慢するしかない。

その時、駅のそばにある電気屋の液晶テレビに目がいった。

テレビにはサッカーの試合が映し出されている。

必死にボールを追う選手はみんなキラキラと輝いている。

自分と同い年ぐらいの高校生のように見える若い選手がゴールを決め、みんなに頭を叩かれている。

眩しい笑顔。輝く瞳。自信に満ち溢れたその表情。

「ハァ……超羨ましい」

あたしには何一つない。

将来、自分が何をしたいのかも全然分からない。

小学生の時は大人に近付けば自然と道が開けていくと信じて疑わなかったのに。

そううまくいくもんじゃないって高2になってやっと気づいた。

自分はどこか特別な存在だって勝手に勘違いしていたけれど、あたしはその他大勢の中の一人にすぎなくて、今もこうやってテレビの中の選手に嫉妬してる。

今までチャンスがなかっただけだとか、もっと裕福な家庭だったらとか、もっと都会に住んでいれば……とか。

何かがあると、いつも何かのせいにして自分から逃げていた。

そんな自分が大っ嫌い。だけど、そんな自分を変える為の方法を知らない。

テレビに映る男の子から目をそらす。

自分に自信のある彼らが羨ましい。

何か一つでも夢中になれることがあれば、あたしも変われるんだろうか。

彼のように輝けるんだろうか。

生きている理由が分かるんだろうか。

「そんなのわかるわけないか」

もう一度深いため息をついた後、あたしは再び足を速めた。