「ねぇ、今日はどこいく?」

「マックは~?それかカラオケとか~?」

「つーか、先週もカラオケいったじゃん」

前を歩く2人が口々にそんなことをいいあう。

「ねぇ、流奈はどう思う?」

「あたしはどっちでもいいよ」

本当にどっちもいい。意見してあとで悪口を言われたくない。

「じゃあ、マック行こうよ」

グループのリーダーのサエコの一声でマックに行くことが決まった。

マックに行くならいくし、カラオケに行くならそれでもいい。

周りの流れに逆らわないように自分の意見は口に出さずに相手にゆだねる。

そんなことしていたら、自分のことがよくわかならなくなっていった。

今、何をしたいのか。
今、何を食べたいのか。
今、どこへ行きたいのか。

そんな簡単なことを自分で決められないなんてやばい。相当やばい。

分かっていてもどうにもならない。

自分が自分ではないような感覚。

あたしって、何?あたしって誰?あたしって、あたしって。

あたしってどんな性格だったっけ?

自分をどんどん見失っていく。

あたしって何のために生きてんの?あたしが生きてる必要ってある?

誰かに必要とされてる?

時々、生きていることを手放してしまいたくなる。

このまま生きていくことが正しい道なの……?

この先にあるものが何かわからないけれど、深みにはまった体は重みを増してあたしにのしかかる。

高校生活は楽しい。友達もいるし、勉強もそこそこできる。

高校を卒業したらそれなりの大学に行って、就職してそこそこ好きな人と結婚して子供を産む。

多分、そういう感じでなんとなく生きていくんだろう。

だけど、何かが足りない。

ふと孤独に陥って消えてしまいたくなるときがある。

何でだろう。なんなんだろう、この気持ち。

その理由が何か、今はまだわからない。