『流奈』

そう呼ばれると、胸が熱くなる。苦しいほどに切なくなる。

「みな……と」

その名前を口にするだけで狂おしいほどの愛おしさが全身を駆け巡る。

――ねぇ、湊なの?あたしが探していたのは……湊?

そうだ。そうだよ。

湊が……。湊がいてくれたんだ。

あの日、屋上であたしにしか見えない湊と出会った。

幽霊と一緒に過ごすなんて考えられないと思っていたけど、いつのまにか湊の存在があたしのなかで大きくなっていったんだ。