わたしにしか見えない君に、恋をした。

カフェを出てゲーセンに向かいプリクラ機の前に揃って立っても何も感じない。

「なんか思い出したか?」

「ううん、全然」

「そっか」

そんな簡単にはいかないか。

すると、流奈がある場所を指さした。

それは爆音の轟くゲーセン内の奥にあるUFOキャッチャーの機械だった。

「こ、これうちにあるんだけど!これの色違い!」

「写真立て?」

「そう。前からこのゲーセンにあるのは知ってて何回もやったんだけど、全然取れなかったの」

「じゃあ、なんで流奈んちにあんの?」

「それが分からないの。なんでうちにあるのか。その記憶がないの」

「写真立てか……」

「ねぇ、これ取れそうじゃない?湊、こういうの得意?」

「苦手ではないけど、得意ではない」

「なにそれ」

「あんまやんねぇーし」

「えー、そうなの!?」

その写真立てをとったのが流奈の好きな男なのかもしれない。

大切な男なのかもしれない。

俺は見たこともない男に自分でも信じられないぐらいに嫉妬している。

露骨に残念そうな声を上げた流奈を無視しして、俺は財布から取り出した100円を機械に入れた。