わたしにしか見えない君に、恋をした。

「愁人に聞いたの。試合をすると湊目当てに他校の女子まで応援に来るって」
「さあ?あんま気にしてない」

「今年のバレンタイン、すごい数もらったんでしょ?」

「んー、どうかな」

曖昧な言葉で誤魔化すと流奈はキッと横目で俺を睨んだ。

態度とは裏腹に今にも泣きだしそうな表情の流奈の頭をポンッと叩く。

「どした?いじけてんの?」

「いじけてない」

「いじけてんじゃん」

「いじけてない!」

「はいはい」

「そうやって流さないでよ」

「いいじゃん。今、俺が一緒にいるのは流奈なんだから」

俺の言葉にふとその場に足を止めて考え込んだ後、流奈は「そうだね」と納得したように言った。

そんな可愛い反応すんなよ。

その横顔が少しだけ赤みがかっていることに気付いて、俺は抱きしめたい気持ちをぐっと抑え込んだ。