わたしにしか見えない君に、恋をした。


「俺達、どっかで会った?」

「え?」

「いや、なんかわかんねぇけど流奈のことを昔から知っているような気がする」

「それはあたしも感じるよ。昔から知ってるような、懐かしい感じ?」

「流奈も?」

「うん。でも、頭の中に薄い膜がはったみたいにその記憶が思い出せないの」

「そっか」

「あたし達、前に付き合ってたってことはないよね?」

「それはない。流奈の連絡先知らないし。付き合ってたら連絡先ぐらい交換してるはずだろ?」

「だよねぇ。あたしの記憶では男の子と付き合ったこともないし、仲の良い男友達もいないはずなんだけどなぁ」

「……ないんだ?」

「ん?」

「付き合ったこと、ないんだ?」

「ないよー。まぁ、モテモテの湊君は何人もの女子と付き合ったことがあるんだろうけど」

流奈は唇を尖らせてふいっと俺から顔を背ける。

いじけているかのようなその態度にたまらない気持ちになる。