それが、サエコの反感を買うことなってしまった。

『明子って、佐伯君のこと好きなの!?だからあたしが佐伯君とうまくいかないように、でまかせ言ってるんでしょ!?』

『違うよ!そうじゃない!』

『だよね~!!あたしも前から思ってたんだけど明子って空気読めないところあるよね?普通そういうこと思ってても言わなくない!?そういう人の気持ちを考えないところマジうざい!!アンタ何様よ!』

サエコをかばうナナ。

『違うの!!お願い、最後まで話を聞いて……――!!』

明子はそうじゃないと必死に弁解していたけど、サエコもナナも聞く耳を持たなかった。

明子は困ったようにあたしに視線を向けた。

けれど、あたしは明子から目をそらした。

『彼はやめたほうがいいと思うよ』

そう言った明子には、佐伯君を嫌う理由があったのかもしれない。明子の性格から察するに、本心からサエコのことを思ってそう忠告したに違いない。

それを、サエコが悪く受け取ってしまった。

でも、正直あたしはイラついた。

明子の気持ちはわかるけど、それを口にしなくたっていいじゃん。

もっとうまい言い方があるはず。

明子がサエコやナナから嫌われないように必死でフォローしてきたあたしの立場は一体どうなるの?

どうしてうまく立ち回ろうとしないんだろう。

サエコに佐伯君のことを悪く言えばどうなるかぐらいわかってもいいはず。

空気の読めない明子に苛立ち、あたしもサエコたち同様に明子から距離を置いた。

それがキッカケで明子はあたしたちのグループから抜けた。

抜けたというよりか、放り出されたと表現した方がいいのかもしれない。