4月。2年生に進級してクラス替えが行われた。

1年の時に仲の良かった友達とは離れてしまったし、また一から友達を作らないといけない。気を張って友達作りに臨んだあたしが一番最初に声をかけたのが明子だった。

「あたし、秋月流奈っていうんだ。よろしくね」

「平山明子です。よろしくね、流奈ちゃん」

柔らかくて温かい明子の笑顔。

あたしたちはすぐに打ち解けた。

それから、あたしと席の近かったサエコとナナが加わりいつの間にか4人グループになっていた。

サエコとナナは見た目も派手で、明子とはタイプが違った。

物静かであまり自己主張しない明子と、自分の欲求を主張して押し付けるサエコとナナ。

小説や漫画を読むことが好きな明子とカラオケやクラブが大好きな二人。

明らかにタイプが違った。

6月に入る頃になると、サエコとナナは明子を少しづつ疎ましがるようになった。

「なんか明子と一緒にいても面白くないんだよね~。恋バナもしないし、ファッションの話もかみ合わないし。4人でいるときはいいけど、2人っきりになるときっついんだけど」

「わかるわかる~!なんか違うよねー」

たびたびそう漏らしていたサエコとナナ。

「そんなこと言わないで、仲良くやろうよ?明子ともっと打ち解ければ楽しいって」

あたしはそのたびに必死にフォローした。

けれど、そのフォローもむなしく明子はある事件を起こす。

『私、佐伯君のことどうしても好きになれないの。彼はやめたほうがいいと思うよ』

以前からサエコのお気に入りだった佐伯君に対して明子は不快感をあらわにしてそう忠告した。

あまり自分の意見を述べない明子が珍しくそう主張したから正直驚いた。