わたしにしか見えない君に、恋をした。

「俺がここにいられるのはあと数日だと思う」

「嘘でしょ……?いやだよ、そんなの」

「自分でも分かる。体が思うように動かない時もあるし、透けている時間も長くなってる」

鼻の奥がツンと痛む。

「泣くな、流奈」

「いやだ。泣くよ。あたし、泣く。湊がいなくなるなんて考えたくない!だからずっと一緒にいてよ。お願いだから……!!」

湊はあたしの目の下に溜まった涙を指で拭う。

「行かないでよ。ずっとそばにいて。あたしの隣にいて!」

ワガママを言って困らせてはいけないと分かっているのに言わずにはいられない。

こんな気持ち初めてだ。

湊がいない生活なんてもう考えられない。

それぐらいあたしの中で湊の存在は大きくなっていた。

「分かったわかった。しょうがねーなぁ」

湊はそっと泣きじゃくるあたしの体を抱きしめてくれた。

どうしてなの。

今も湊の体温を肌で感じるのに。

手のひらのぬくもりも、その低い声も、がっしりとした腕も。

今、湊は確かにあたしの目の前にいるのに。