「バーカ。冗談だって」
胸のドキドキを抑えきれずに思わずスカートの端をギュッと握りしめる。
そんなあたしの気持ちを見透かしたように、湊はふっとわずかに笑うとベッドから立ち上がった。
「あっ、あのさ。今日も色々湊のこと調べてて。その制服のことで――」
話題を変えようとそう切り出した時、湊があたしをまっすぐ見つめた。
「つーかさ、もういいよ。俺のこと色々調べないで」
「え……?」
「よくよく考えたら俺がどこの誰かなんてわかったところで何かが変わるわけじゃないし」
「湊……?」
「だから、もういい。色々協力してくれてありがとな」
「なんで?どうしたの急に……」
そう言って湊に触れようとした瞬間、手が宙をかいた。
「え……?なんで?」
自分の手のひらを眺める。
確かに湊に手を伸ばしたのに。いつもだったら触れられるのに。それなのに。
「そういうこと」
湊は特に表情を変えることなくそう言うと、大きく背伸びをした。