5月になり、さくら学級の通級申請ができるようになった。
ダラダラと延ばしていて、親に話せていなかった。また、あのアレルゲンを投与されるんだろうか。
ある夜、私は両親に話してみた。
「あのさ、今年もさくら学級行きたいから、お母さん面談に付き合ってくれない?」
「あぁ…さくら。いいよ、電話しておく」
「へ?…ありがとう」
案外あっさりと承諾されて、少し面を食らった。どういう風の吹き回し?
3日後、面談に行き、色々話す。
とはいえ、昨年度も来ていたから顔馴染みだ。去年の面談よりもすぐ終わって、帰ることになった。
それからトントン拍子で通級できることになる。早い時期だから、教育委員会での処理が円滑だったみたいだ。
今年度の通級初日。
「おはようございます!」
「あー、あぐちゃんおはよん」
さくら学級のボス的(怖くないよ)な存在の、森先生が独特な明るい雰囲気で挨拶してくる。
ここの女性の先生は、何故か私を“あぐちゃん”
と呼ぶ。というか、私以外にも、あまり周りの人が呼ばない呼び方をする。
「今日は、私だけですか?」
「うん。だって、あぐちゃんが最初だし。来週になったら、中2中3が数人来るかなぁ…って感じ」
「…じゃあ、今いる5人の先生を、私が独占できますねぇ」
「そうだねぇ」
私の“お主も悪よのぉ”みたいなノリに、森先生まで乗っかってくる。
ここでは私も、普段のテンションになれる。
中学校にいる時、特に先生といる時みたいに、ガチガチ警戒反抗期じゃない。