「先日の…今日は何か御用ですか?えっと…。」

「え、未来の旦那さんになる僕の名前、忘れちゃった?もう、奈々ちゃんは仕方ない子だなぁ。南 大星(ミナミ タイセイ)だよ!もう忘れちゃだめだよ?」



…この人やっば!!

未来の旦那さんとかぬかしちゃってるし…。

忘れるも何も、まず教えてもらってすらないし…。


でも、これでくろにはしっかりと先輩の名前が聞こえたはずだ。

これ以上何かあったときはなんとかなるだろう。



「…南先輩。腕、痛いので放してください。」

「やだよ。やっと捕まえたのに。それに離しちゃったら彼氏のところに行っちゃうでしょ?さっきも電話してたみたいだし…。」



繋がったままだってことには気づいてないみたい。


くろをここでこのまま待つのもいいけど…何されるかわかったもんじゃないし。

だって、さっきからどんどん息が荒くなってきてるんだもん。

腕だって痛い。


くろと電話が繋がったままだからか、冷静なままでいられた。


とりあえず、くろが来てくれるまでの時間稼ぎとして脅してみることにした。