好きなんだから仕方ない。

「エイミアちゃん、座って。早く式を終わらせよう。そんな子供の言う事を信じなくて良いから」

「・・・ふふっ、バカみたい。情けなくて仕方無いわ。・・・そうね。通りで最近、流れ星を見ていないと思ったのよ」

パドの本性が分かり、笑みが溢れてならなかった。私は最初から騙されていたんだ。
そう。あの妃が自分たちの立場を悪くするような情報を持っている人々を生かしておくはずがなかったのよ。
少し考えれば分かる事だったのに何年も気付かなかったなんて情けない。こんな小さな子供にまで命をかけさせるなんて両親にどう顔向けしたら良いのかしら。
確かに一緒に住んでいた男の子はいたわ。私より少し年上で名前はパルドメール。あだ名はパド。だから勘違いしてしまったのかしら。彼はもう、生きていないという事すら忘れていたなんて。
全て思い出したわ。記憶を一時的に忘れさせたのは医師だった父。王族になって生きていく上で幼さゆえの素直さが仇となって殺させる事がないよう、自分たちの記憶を思い出させないような薬を飲ませたの。