好きなんだから仕方ない。

誰かが嘘を吐いているのではと思うくらい、手がかりも何も無かった。本当は匿っていたんだとでも言いたいのだろうか。
小さな喫茶店に入り、話を聞く事にした。今はエイミア様に関する事ならどんな些細な情報でも欲しかったから。

「それで、お話というのは?」

「クロエラさんたちが来られた数日後、我々の町にエイミア様とお連れの方がいらっしゃいました」

「そうでしたか」

俺が焦りすぎただけだったのか。早くしないと行ってしまうからと捜し回り、冷静さを失ってすれ違っている事にも気付かずに。
バカだな。私情を挟まないように今までやって来たのに最後の最後で私情を挟み、大切な者を見失うなんて。なんて情けないのだろう。話してくれた主人に返す言葉さえも見当たらない。
運ばれてきた珈琲を飲みながら、少しの沈黙が流れた。俺が後悔に浸っていたというのもあったのだろう。主人は言いづらそうに口を開いた。