抱き締めてくれた体が震えていた。やっと抱き締められたと体温が伝えてくれる。ずっと捜していた、たった一人の家族。生きていてくれて良かったと心から安心して肩を撫で下ろして凄く喜んで。これが、本当の家族がくれる愛?

「あの、パド」

「もうどこにも行かないって約束して。もう二度と僕のそばから離れないと言って」

「うん・・・、分かった・・・」

泣いてくれているパドに嫌だとは言えなかった。本当はちょっと待ってと言いたかった。保証は出来ないと言いたかった。
これから先、また故郷を離れなければいけない日が来るかもしれない。応じなければ故郷が消されてしまうとなればきっと応じてしまう。
皆が話している両親と違って私には強い力も経験も何もない。人間関係や信頼だって両親の評判を落とさないように私自身を信じてもらえるように作っていかなきゃいけない。