ある程度世界の人口が増えてきてからはそれも減った。だから、希少な町で産まれたと言っても良いだろう。だから、彼女にはたくさんの親がいた。
血の繋がっている自分の父親を知りたいのだろうか。それとも別の理由か。だとしたら何がある。単純に会いたくなったとか、親の顔を覚えていないとかなのか。

「温かいココアでもお持ち致します」

「ありがとう」

一礼し、部屋を出た。何で怯えていたのかは分からない。得体の知れない事実を知って混乱してしまっただけかもしれない。でも、それでも心を落ち着かせたがっている事だけは分かるから。
台所からお湯を運び、自室にある自作のココアの粉を取りもう一度扉を叩いた。エイミア様はそのまま、入るように言って俺を通すと電気の明かりを付ける訳もなく月明かりに照らされていた。
明かりを付けるかとも訊かれたが、何か付けたくない理由でもあるのだろう。望まれるのであればとだけ答えた。
カーテンを開け、窓から入る月明かりはとても明るかった。