慎めと睨んだ理由も弁解しようとしているようじゃ分かっていないのだろうな。仕える者として情けない限りだ。

「あなたが失礼な言葉を発した事に変わりありません。弁解など見苦しい」

「私はただ！・・・私は！」

「仕事に私情を持ち込むのはやめなさい。鬱陶しいですよ」

泣く女中を一人その場に残し、エイミア様の自室へと向かった。言おうとしていた事は分かっている。どうせ、叶わない恋は諦めて自分の方を見てほしいと言いたかったのだろう。
俺の取った行動を酷いと怒る人もいるだろう。エイミア様にも言われていたんだ。仕事中など関係無く、気持ちを伝えてくれた人には本音で話してあげてほしいと。
女中の恋心には気付いていた。仕えた当初から分かりやすく好意を寄せてきていたからな。何度も愛の告白をされ、何度も突き放した。好きにはなれない、愛せないと。