「エイミア!お前は一体・・・」

「国は生きる者がいなければ成り立ちません。それを大切にしているだけです。クロエラ!」

「エイミア様の仰せの通りに」

国王の疑問に答えたエイミア様に一礼し、大広間を人々と共に退出した。庭にいる者たちともちゃんと顔を合わせたいのだろう。
人々に囲まれるエイミア様はとても楽しそうに笑っていた。城内ではもちろん、家族にだってここまでの笑顔を見せた事は無いだろう。
城内では俺だけが何度も見ている。彼女が見せる特別な心からの笑顔を守りたい。でも、執事の身である俺には黙って見ている事しか。
庭に着くと空白の時間を埋めるかのように笑い合っていた。近況報告やここまで来た経緯。エイミア様が訪れてから今日に至るまでの全てを勢いが収まる事無く話し始めた。
姫と国民という立場など関係ない。まるで里帰りした親族を祝っているかのようだった。