好きなんだから仕方ない。

どれだけ安くても一生遊んで暮らせるほどの金が手に入る代物。困った時に使ってくださいと仰ったらしい。俺も同じ宿、同じ部屋に宿泊したにも関わらず気付かなかったとは何と情けない。

「良いのです。私が持っていても宝の持ち腐れなのですから。必要な人の許へ行くべきでしょう？」

「エイミア様。私共にはもう、あなた様と笑い合ったという素敵で勿体のう思い出がございます。本日はそのお釣りを返しに参ったのです」

「エイミア様！こっち！あれ見て！」

小さな箱を返そうとするも、頑なに拒む主人。しかし、彼らの善意はまだ続いた。子供たちがエイミア様の手を引き、庭が見える窓の方へ向かった。
我々、城の者たちも何だと兄二人と一緒に駆け寄る。そこにあったのは彼女に手を振ったり頭を下げたりする住人たちと庭に山積みになった野菜や果物だった。
これも全て、彼女が培った人脈なのか？