「どういう事だ・・・?何をしたんだ!」

「だって、仕方無いだろ!?・・・弱っていく姿を・・・見ていられなかったんだ・・・。エイミア様はこんな所で、こんな事で亡くなるようなお方じゃない!だから・・・!」

「貴様・・・っ!」

クロエラがカナケトに怒鳴り、掴みかかるなんて初めての光景だった。いつもなら冷たく怒った声で目の前から去れと言うだけなのに。
違うか。いつもは冷静さを保たせてくれる存在がいたんだ。この人の前では感情を露にしてはいけない、感情のままに動いてはいけないとただそこにいるだけで気付かせてくれる人がいた。でも、今はどうだ。その存在が目の前で命を終えようとしている。
そんな時に冷静でいろなんて酷な話だよな。だってクロエラは俺たちよりも長い時間を彼女と共にしていた。なのに皆が皆、助けようと一人で動いていたせいで全てが空回りし、結局誰一人として助けられなかったのだから。知っていたら無駄にした時間で違う結果を産み出せていたかもしれないのだから。