声を出せるようになったのはそれから気の遠くなるような年月が経ってからだった。もしかしたら、目が見えていないから長いと思えただけて本当は思ったほど経っていないのかもしれない。それでも、私にはそれくらい長く感じられた。

「後百年も経たずして魔界の王も神も亡くなるそうです。間に合わず、すみませんでした」

「ヅヌダクのせいじゃないわ。力の無い私にも責任がある。自分を責めないで?」

たぶん、ヅヌダクは自分を必要以上に責めてる。何とかすると言ったのに取り返しの付かない時期まで来てしまった事を後悔してる。神や魔界の王に選ばれておきながら、自分一人の力で逃げられなかった私にも非があると言うのに。
そういえばここに来てからクロエラやヅヌダクの笑顔、見てない気がする。目が開かないから仕方ないんだけど、どうしてだろう。カナケトはここに来てから明るい声で笑うようになったのに、どうして二人は笑っていないの?