クロエラの気配が消えたかと思うと、カナケトとも違う気配が近付いてきた。二人よりも重い足音。もしかしてヅヌダク?

「やっぱりそうだったか。エイミア様ほどの方が目を覚まさないなんておかしいと思ったんだよ」

「ヅ・・・ク・・・?」

「はい、ヅヌダクです。出しづらいですよね。すみません。あいつ、使いの中では一番魔力を持っていて俺ではどうする事も・・・。でも、ここに残るかはあなた様が決める事です。何とか解けるよう手配致します」

違うの、聞いて。呼び止めたいけど声を絞り出してやっと一文字発せられるような状態ではヅヌダクもクロエラも止められなかった。だから、気付いてと願って握ってくれた手を出来る限りの強い力で握り返してみた。そうすると、ヅヌダクも答えるように力を込めてくれた。
何か、力が入らなくても喋らなくても意思を伝える方法はないかしら。何か、良い方法があるはず。声が聞こえても私の考えを伝えられなかったら意味はない。何か。