「エイミア様、落ち着いて聞いてください。このまま魔力を持続させ、体質的に魔界と不一致であると思い込ませます。そうすれば神の住み処へ移る手配を済ませられるはずです。もう少し、私に付き合って頂けますか?」

「・・・」

「申し訳ありません。もう少しの辛抱ですから」

そっか。クロエラは確実に神の住み処へ行けるように動いてくれていたんだ。でも、でもさ。もう、人の力で動くのは嫌なんだ。
声はクロエラなのに、何でこんなに雰囲気が違うんだろう。いつもの声じゃない。いつもはもう少し気を使っているような、遠慮して距離を置いているような感じなのに。
少し強く念じると、ぼやけた目がクロエラの背中を捕らえた。雰囲気が変わっていてもクロエラはクロエラなんだ。でも、違う。違うんだよ。
どれだけ死が近いと言っても魔界の使いの持つ力と現役の神の力では差がありすぎる。やろうと思えば私を三人の手から引き離して神の住み処へ引き抜く事が出来たんだよ。でも、神は故意にそれをしなかった。私が三人と一緒にいるのには何か、私たちの知らない意味があるんだよ。