夕食やお風呂を済ませ、虹も拓海の腕に抱かれて安心したのか、珍しくあっさりと眠ってしまった。
キッチンでお茶を入れて、ソファーでくつろいでいる拓海に手渡す。久しぶりにゆっくりと、夫婦の時間を過ごすことができそう。私も自分の分を用意して、彼の隣に座った。
「夏美、今日はなにしてたの」
「布団を干してたら、日差しが気持ちよくてつい三人で昼寝しちゃった」
こんなこと言って、忙しく働いている拓海が気を悪くしないかなと思ったけれど、
「へえ、なんかいいな、そういうの」
私たちのお昼寝姿を想像しているのか、拓海はそう言って目を細めた。
「あとね、優斗くんがお友達を連れて来てくれたの」
「へえ」
拓海も、囲碁を習いに来る子ども達と積極的にコミュニケーションを取ってくれる。中でも優斗くんは拓海に並々ならぬライバル心を燃やしていて、よく一緒に対局している。その姿もとても微笑ましい。
「みんな楽しんでくれたみたい。あと優斗くんが強いって感心してた」
「これでその子達も囲碁に興味を持ってくれたらいいな」
囲碁の面白さに気がついて、続けてくれたらいいなと思う。
お茶を飲みながらこれからのことに思いを馳せていると、「夏美」と拓海が少し甘い声で私を呼んで肩を抱き寄せた。彼の体温に安心して、そっと頭をもたれさせる。
こうして拓海と過ごしていると、彼の穏やかな愛情に包まれて、満ち足りた気持ちになる。
どんなに足掻いても手に入れられないものもあったけれど、今の私は、幸せだなと思う。こんな未来を運んで来てくれた拓海には感謝しかない。
拓海のことを知れば知るほど、愛しさは増していく。一緒に過ごす時間が増えるほど、彼への愛はより深くなっていく。
あなたが私に、幸せをくれた。
だから私も、溢れるほどの愛をあなたに返したい。
きっとずっと、永遠にふたりで。
Fin


