季節は廻り、六月。梅雨入り前の爽やかな初夏の風が吹くこの日。とうとう私と拓海は、結婚式当日を迎えた。
メイクルームで担当のスタイリストさんにヘアアレンジとメイクを施してもらい、純白のウェディングドレスに着替える。
ふんわりとアップにした髪には、プリンセスのようなティアラが載っている。リーフとフラワーをモチーフにしたティアラは、華奢で美しく、上品な仕上がりになっている。
スタイリストさんから提案されたときは、自分に似合うかな……と迷ったけれど、これにして正解だったと今では気に入っている。
そしてドレスは、大胆にデコルテを露出したマーメイド型だ。
「あなたくらい背がある人じゃないと、似合わないデザインなのよ。きっとゲストも魅了されるわ」
そう押し切られて試着してみたドレスは、驚くほど私にフィットしていた。拓海からの強い後押しもあって、このドレスに決めた。
姿見の中には、美しく着飾られた私がいる。
「私じゃないみたい……」
あまりに綺麗で、自分でも泣いてしまいそうだ。我慢しなきゃ、せっかくのメイクが崩れてしまう。
涙をこらえるために大きく深呼吸すると、私は今日まで担当してくれたスタイリスト、もとい拓海のお母さまを振り返った。


