「……はい!」

 やっとのことで絞り出した返事とともに、今度は私が拓海の手を取り、指輪をはめてあげる。

 拓海は、少し潤んだようにも見える目で左手の指輪を見つめると、

「愛してる、夏美」

ため息とともに、私に愛の言葉を告げた。


 どんなことがあっても、もう私はこの手を離さない。あなたから逃げたりしない。心の中で、神さまに誓う。

 拓海が私の顎に手を添え、顔を近づける。キスの予感にそっと目を閉じた。

ゆっくりと拓海の唇が降りて来て、私に触れる。おでこ、目蓋、鼻先、そして唇と私の輪郭を確かめるように、唇がなぞる。私の肩を抱き寄せると、拓海は何度か角度を変え、触れるだけのキスを繰り返した。

 ……焦らさないで、早く拓海が欲しい。

声に出せないつぶやきが思わず漏れてしまう。わずかに唇が開いたその瞬間を逃さず、拓海が舌を差し込んだ。口内を探り、敏感なところを探る。

舌の動きがだんだんと激しくなって、すっかり力の抜けてしまった私は、もう立っていられない。膝から崩れ落ちそうになる私をしっかりと支えると、拓海はようやく唇を離し、私を抱きかかえた。