お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~


「……夏美?」


 隣に寝ていた拓海が、ゆっくりと目を開けた。拓海が起きて最初に呼んだ名前が、私のものであったことにホッとする。

 まだ寝ぼけているのだろうか。拓海は私をその目に捉えると、蕩けるように甘い笑みを向けた。


「おはよう、拓海」

「おはよう。もう起きてたんだ」

 壁掛けの時計に目を向けると、六時を少し過ぎたところだった。拓海はたしか今日も事務所に行くと言っていたはず。

「何時に家を出るの?まだ起きなくて平気……わっ!」

 話している途中なのに、拓海は私の腕を引いた。バランスを崩した私は拓海の体の上に倒れ込んでしまい、そのまま唇を貪られる。


 私がキスに溺れているうちに、拓海は私が着ていたシャツのボタンを器用に外してしまった。

 あっという間に私の体からシャツを引き抜いて、ぎゅっと私を抱き寄せる。拓海の裸の胸に抱かれ、心臓がトクトクと音を立てた。

 起きたばかりだからか、彼の体温は私よりもずっと高い。素肌で触れ合う感触が心地よく、このまま、彼の腕に抱かれていたいと思ってしまう。