気づいた時には、悠真先輩のことが好きになっていたからーー。



「そういえば、先輩どうしてあんなことになってたんですか?逃げれば良かったのに......」



私がそう言うと、先輩は分かりやすくため息をついた。



「はぁ......、行っても良かったのかよ」


「あれ?だって私、先帰っててくださいって言いましたよね?」



待たせるのも悪いと思ったからーー。



「言ってない。お前は“ちょっと行ってきます”って言ったんだ。だから、仕方なく待っていてやったんだよ」


「......あっ」



たしかに、そうだったかもしれない。


お店に気を取られすぎて、帰っててくださいって思っただけで、口に出さなかったのかも。

悠真先輩ならそのまま帰りそうなのにーー。


だけど、律儀に待っていてくれたことが嬉しい。


逆ナンされても、逃げずに無言を貫いていた理由が、私を待っていたからーーなんて、嬉しすぎるでしょ。

思わず顔がにやけてしまう。

抑えられない。