反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 一時的にお金を渡すのではない。同じお金を使うのであれば、永続的にお金が孤児院に入るようなことに使うべきなんだ。
 弓や剣が必要ならそれらをそろえるお金を。罠を仕掛けて捕まえるなら罠を。川があったのだ。川で魚は獲れないだろうか。獲れるならば釣り道具に、網……。
「いいや……」
 リュートさんが首を横に振る。

「あの子たちには無理かもしれない。森があるのは王都の向こう側だ。歩いて森に向かうだけでも2時間はかかるかもしれない」
 2時間?往復で4時間。森の中に何時間くらいいれば獲物が取れるのか……。
「子供たちの足では……」
「川を渡れるようにすれば……!」
 確か川の向こうも森だった。
 お金を橋に投資すれば……。
 リュートさんが首を横に振る。
「王都がこの位置に配置されているのは、川が防衛になっているからだと思う。橋を作ることは難しいと思う」
 防衛……。そうなんだ。橋を架けて向こう側に行けるようになるというのは、向こう側からも来るということなんだ。
「ふぇっ、ふえっ、ああーん」
「ああ、ヨリト、よしよし」
 ヨリトが起きた。おむつが濡れている。
「今変えてあげるからねぇ……」
 おむつを見ると、もう残りは6枚だ。1回に2枚重ねて使っているので、あと2回分。
 もらったものだけじゃ足りないようだ。作らないと。朝洗って干した分は、途中で雨が降ってきてしまったため乾いていない。
 アイロンをかけて乾かして使えばいいらしいけれど、アイロンをかけて乾かすのも時間がかかる。雨の日が続いたら部屋の中に干していてもなかなか乾かないだろうなぁ。
 雨の日が続くことも考えるとどれくらい予備があればいいんだろうか。とりあえず布を買ってきて作らないと。布は……新しいものより古いものの方がいいんだよね。柔らかくなってるから。かといって、古着をおむつにするのは、和服ならば解けば四角の布になるけれど、洋服は取れる枚数が少なくなるよなぁ。誰かのお古のおむつ……。
「……そう、だよね……」
 助けたいとか、怖いとか、そんなこと思って泣いてたくせに。こうして目の前のことこなしているだけで必死で……。きっと少しずつ気持ちもあの子たちから離れて行ってしまうんだ。
 王都の人たちが冷たいわけじゃない……。
 そして、私だって……私が人でなしになるわけじゃ……。
 だけど、でも……それでも……。