反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

「私、3年しかいられないかもしれない……だから、私……一生一緒にいてあげられない……それでもいいなら……」
 3年も一緒にいたら、私の方が離れられなくなってしまうかもしれない。日本に帰りたいなんて気持ち、どっかに行っちゃうかもしれない。だから、誰かと親しくするつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。
「3年……?もしかして、不治の病……を?」
「それでもいいなら、一緒にヨリトを……」
 ぎゅっとリュートさんの手を強く握る。
「あ、うん、そっちだよね。は、はい。3年その、一緒にヨリトを育てましょう」
 そっち?
 リュートさんが頭をぽりぽりとかいた。
「3年の間に好きになってもらえれば最高なんだけど」
 いや、え?
 あれ?
 私もリュートさんのこと、好きなんだけど、伝わってない?
 伝わってないよね?え?これ、どうしたら?今からでも好きですっていうべき?
 いやむしろ、3年後に別れが待ってるのに深い関係にはならないままのが無難?
 いや、まぁいいや。とりあえず、まだ一緒にいられるんだから。その間に、距離を詰めるか詰めないか……考えよう。
 ドアをくぐると、外に出るときに私を睨み付けていた兵が、ヨリトを見て笑った。
「ありがとう」
 と、小さな声が聞こえる。
「僕たちは孤児院出身なんです。思いとどまってくれてありがとうございます」
 もう一人の兵が頭を下げた。
 孤児院出身……。
「ねぇ、あそこにいるときに、お腹がすいて苦しくなかったの?」
 ふと気になったことを尋ねた。
「みんな一緒でしたから。それに、大人になるまでの辛抱だからと……」
 辛抱……やはり辛いんだ……。

「土地があるから、そこで畑を作ったりはしないの?」
 運動場のような場所があった。塀で囲まれた外側にも土地がある。
「川が増水したらすぐに流されてしまうんですよ」
 そういわれれば、土地はあったけれど雑草がほとんどなかった。土がしょっちゅう流されて作物を育てるのに向いていない痩せた土地なのかもしれない。
「その……出身者は、あなたたちみたいにちゃんと仕事をするようになるんでしょう?寄付とか……」