反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

「私が知りたいのは、どちらかといえば、重犯罪者。人殺しとか、えーっと、そういう人ってどうなるのかな?死刑……とか、故郷だとあったけど、もしかして危険なところで強制労働させるとかそういう感じ?」
 白ちゃんの顔から表情が消えた。
「わが国でも死刑はあります。殺人者、盗賊、山賊、海賊……それから……えーっと」
「で、その人たちはどこ?」
 すぐに処刑されるのなら、顔を覚えていても役に立たないという可能性が……むしろ、強制労働とかさせられるレベルの犯罪者の顔を覚えておいた方がいいのかな。
「王都からおよそ2日ほど行った場所に牢屋があります。そこで最低でも3か月、じっくり肉体を改造したのち、刑が執行されます」
「肉体改造?」
 何それ。
 強制労働のことかな?筋肉ムキムキになるくらい重労働させるとか?
「2日移動しないと顔が見られないのか……」
 白ちゃんが、私の手を取った。
「移送される前の者たちがいるかもしれません。こちらです」
 と、手を引かれて移動。
 何やら兵たちが厳重に警備している石作りの建物が見えてきた。……小さいな、と思っていたら、建物の中には地下牢へと通じる入り口があるだけだった。
「あーと、ちょっと待ってね」
 建物の前に立っていた兵たちには、白ちゃんは何か見せて入れてもらっていた。小さな部屋には誰もいなくて、白ちゃんは鞄から白装束と白マスクを取りだして装着。
 完全に私には正体隠す気ゼロですね。

「ヨリコさんも使いますか?」
「だーだ!」
 予備のマスクも持ち歩いているようだ。白ちゃんがもう一つマスクを取り出した。それに手を伸ばすヨリト。
 かみかみかみ。
 そうなるよね。
 ……というか、もしかして……凶悪犯をヨリトに見せるなんてダメなんじゃない?
「白ちゃん、ちょっとヨリトをお願い。私一人で見てくるっ!」
 白ちゃんのマスクをはぎとり頭からかぶり、地下へと続く階段を下りていく。ひんやりとしていて、地上よりも2度ほど気温が低い。
 そして、臭い。
 石造りの地下牢。通気も悪いし、犯罪者……それも人殺しのような凶悪犯罪を犯した人間への待遇がいいわけがないし、つかまった人間たちも素直におとなしくしているわけもない。蝋燭の明かり。薄暗い地下牢。鉄格子の向こうに見える人の顔を覚えていく。
 どれだけの罪のない人間をその手にかけたのだろうか……。