反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 代わりに、一人授している定間に、おむつを替えたり、抱っこしてあやしたりとお手伝いをさせてもらった。それから、少しおしゃべりしながら。
「私の妹も双子ちゃんを生んだのよ。それで、ずいぶん手伝ったから」
「なんだか私よりも双子の扱いに慣れてるように感じたのはそれなんだ。両腕に抱っこはなかなか怖くてできなくて」
「そうね、まだ首が座ったばかりだよね。横抱きのときは二人一緒は無理だから……すぐに慣れるし、すぐにたくましくなるわよ」
「早く、たくましくなりたい……。主人にも申し訳なくて……」

「すぐよ。すぐ。今は永遠に続くみたいに感じるかもしれないこの日々も、1年もすれば懐かしくなるって。とはいえ、今が辛いのも分かるからね。しっかり睡眠時間が取れないだけでも辛いよね。1人寝てももう一人が起きてたら寝れないとかね。だから、もう洗濯とか掃除とか宿や食堂の手伝いもしなくちゃなんて思わなくたっていいんだよ。寝てなきゃ働けないのは当たり前。あのね、人間って、3日食べなくても死なないんだけど、3日寝ないと死ぬんだよ?」
「え?」
「それくらい睡眠は大切。細切れ睡眠じゃ疲れが抜けきれなかったりするし……。だから、胸を張って、寝てないんだからできない!って言っちゃえばいい。ほら、見て。ふくふくのほっぺに、安心しきった顔。それも二人も!それだけで立派!偉い!赤ちゃんが元気に泣ける、いっぱい飲める、育ててるアンナさん偉い!二人もいっぺんにしてるからもっと立派!」
 アンナさんが涙を流す。
「私……立派なんかじゃないです……」
 え?
 いやいや、立派だよ。
「こんなにふくふくして、うれしそうにおっぱい飲んでねんねしてるんだもん。それに、大きな声で元気に泣けるでしょう?親に大切にされていない赤ちゃんはだんだん泣かなくなるのよ?泣いても無駄だと覚えちゃうの。だから、泣かなくて手がかからないのはいいことじゃないの」
 もちろん、例外はある。もともとよく泣く子と、あまり泣かない子がいるので。
 アンナさんの涙は止まらない。
「わ、私……私……。時々、なんで泣き止んでくれないのよって、怒鳴っちゃう……。もう、捨てたいって……思うこと……母親なのに、母親なのに……」
 アンナさんの鼻をぎゅっとつまむ。
「ふふふ、ふふふふ、変な顔」