えーっと、ごそごそとポケットの中をあさる。
あったあった。
男の人の耳にすぽっと「即席耳栓」をさす。
「な、何をするっ!」
「耳栓です。これを耳に入れれば、周りの音が小さく聞こえると思います。夜、寝るときなど、隣の家の赤ちゃんの声が気になるようなら耳栓をすればいいんですよ」
と、もう片方の耳栓は手渡す。
男が、手渡された耳栓を自分の耳にはめた。
「ああ、本当だ。音が小さい……」
男が頭を下げた。
「すまない……」
床に投げ捨てたお金を拾い、ご主人に手渡した。それから、テーブルの上にそのままにしてあった空の器を、カウンターまで運んで片付ける。
別のテーブルの客が、そんな男の背中をトントンとたたく。
「呪いが消えるといいなぁ」
「そうだ。自分の子供ができりゃ、呪いなんて言ってられねぇぞ」
「そうそう、すぐ馴れるさ。むしろ、子供がでっかくなりゃ、泣き声が懐かしくなるさ」
「おー、うちのガキはもっとうるさかったぞ」
「なぁ、その耳栓ちょっと貸してくんねぇか?うち、今度3人目が生まれるんだ」
3人目が!めでたい。
「おお、こりゃいいな。これしてれば泣いても起きないで済みそうだ」
……まぁ、仕事に支障が出るなら仕方ないですけど。父親が耳栓……なんだかいやだなぁ。
「耳栓をつかえば、かぁちゃんもゆっくり寝れるかな。おう、その時はもらい乳させてくんねぇか?」
あ、耳栓を使うのは、奥さんの方なんだ……。
そうか。奥さんにゆっくり寝てほしくて……。そうだよね。時々まとめて睡眠がとれるだけでもずいぶん楽になるよね。
いい人だ。
「ごめんなさい、私もアンナさんに頼っている立場で」
「なんでぇ、お前んとこ3人目か!うちは2人目がもうすぐ1歳だ。うちにくりゃいい」
と、他のお客たち和気あいあいと子供の話を始める。
そうか。
……。赤ちゃんの泣き声がしていても平気なお客さんたちが来ているってことなんだ。だから、ここのお客さんは皆温かい。
カウンターに注文の品を取りにいき、空いた皿を片付けるなんてセルフサービスだって、素直に受け入れて……。
双子かぁ、そりゃ大変だと、笑って協力してくれる。
ヨリトは夜中に2回起きた。
1回目は、運よく階下からも泣き声が聞こえていたので、もらい乳しにお邪魔することにした。
あったあった。
男の人の耳にすぽっと「即席耳栓」をさす。
「な、何をするっ!」
「耳栓です。これを耳に入れれば、周りの音が小さく聞こえると思います。夜、寝るときなど、隣の家の赤ちゃんの声が気になるようなら耳栓をすればいいんですよ」
と、もう片方の耳栓は手渡す。
男が、手渡された耳栓を自分の耳にはめた。
「ああ、本当だ。音が小さい……」
男が頭を下げた。
「すまない……」
床に投げ捨てたお金を拾い、ご主人に手渡した。それから、テーブルの上にそのままにしてあった空の器を、カウンターまで運んで片付ける。
別のテーブルの客が、そんな男の背中をトントンとたたく。
「呪いが消えるといいなぁ」
「そうだ。自分の子供ができりゃ、呪いなんて言ってられねぇぞ」
「そうそう、すぐ馴れるさ。むしろ、子供がでっかくなりゃ、泣き声が懐かしくなるさ」
「おー、うちのガキはもっとうるさかったぞ」
「なぁ、その耳栓ちょっと貸してくんねぇか?うち、今度3人目が生まれるんだ」
3人目が!めでたい。
「おお、こりゃいいな。これしてれば泣いても起きないで済みそうだ」
……まぁ、仕事に支障が出るなら仕方ないですけど。父親が耳栓……なんだかいやだなぁ。
「耳栓をつかえば、かぁちゃんもゆっくり寝れるかな。おう、その時はもらい乳させてくんねぇか?」
あ、耳栓を使うのは、奥さんの方なんだ……。
そうか。奥さんにゆっくり寝てほしくて……。そうだよね。時々まとめて睡眠がとれるだけでもずいぶん楽になるよね。
いい人だ。
「ごめんなさい、私もアンナさんに頼っている立場で」
「なんでぇ、お前んとこ3人目か!うちは2人目がもうすぐ1歳だ。うちにくりゃいい」
と、他のお客たち和気あいあいと子供の話を始める。
そうか。
……。赤ちゃんの泣き声がしていても平気なお客さんたちが来ているってことなんだ。だから、ここのお客さんは皆温かい。
カウンターに注文の品を取りにいき、空いた皿を片付けるなんてセルフサービスだって、素直に受け入れて……。
双子かぁ、そりゃ大変だと、笑って協力してくれる。
ヨリトは夜中に2回起きた。
1回目は、運よく階下からも泣き声が聞こえていたので、もらい乳しにお邪魔することにした。


