反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 ぷにぷにのほっぺに頬ずり。
 柔らかぁい。ミルクのいい匂い。
 ああそうだ。寝る前にアンナさんに飲ませてもらえるといいなぁ。夜中に起きた時はどうしようか……運よくアンナさんの赤ちゃんとタイミングが合えばいいんだけど。そうでなければわざわざ起こして飲ませてもらうなんてとても無理で。
 スプーンから少しずつ飲ませるしかないかな。ミルクがゆがあったくらいだからミルクは存在してるんだよね。山羊?牛?馬?なんのミルク何だろう。これも少しもらっておかないと。それから温めるのはどうしたらいんだろう。一度沸騰させて覚ましておけば40度じゃなくてもいいかな。うん、いいよね。寒くないし、もう生後半年だし……。スプーンで飲ませている間にどうせ冷めちゃうから。
 よし、今はお店が忙しいだろうから、閉店後にご主人に聞いてみよう。もしなければ野菜スープでも大丈夫。ああ砂糖水で急場をしのぐこともできるって聞いたことがある。
 
 アンナさんにおっぱいもらうことができた。そしてヨリトは夢の中。おむつも買えたし。
「これをシーツの下に引いておけばベッドは汚さないだろう」
 と、タイミングよくリュートさんが防水マント?を買ってきてくれた。
「小さなベッドだし、これで十分カバーできますね」
 にこりと笑うと、リュートさんが一歩後ろに下がる。
「先に寝ます?」
 まだ夕方を少し過ぎたような時間だ。けれどヨリトが夜中に起きるだろうことを考えれば、ヨリトが寝ている間に睡眠をとっておくというのは普通だと思う。
「頼子、俺は、別の宿を探してくるよ、さすがに狭すぎるだろう」
 一つしかないシングルベッドを見る。
 ……ヨリトと大人一人が寝るのがさすがに精一杯だよね……。
 でも……。離れるのは不安。知らない世界で……もし、夜中に何かあったら……。

「わ、私、床でも大丈夫だからっ!」
「ぷっ。頼子、お前本当にいいのか?こんなおっさんが一緒でも?頼子がいいっていうなら、俺の方こそ野宿も慣れてる。風雨がしのげる分快適だぞ。湿った土の上より極楽だ」
 リュートさんが笑った。
「お、おっさんとか、全然思ってないですというか、私、日本の血が流れているからちょっと若く見えるかもしれませんが、おばさんですっ!おばさんからすれば、リュートさんはおじさんじゃなくて、男性です」
「え?あの、頼子、言っている意味わかってる?」