反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 イクメンってこういう人かなぁ。言われる前に気が付いていろいろやってくれる。言われたことすらできないは問題外で、言われたことしかできないのも子育てでテンパってるとイライラするよね。なんで毎回おんなじこと言わないといけないのっ!こういう場面ならそうしてくれたっていいでしょ!ってやつ……。あ、でも、何かするたびに失敗するとかは余計イライラなのかな。育児サイトにもいろいろ乗ってたなぁ。ミルクを頼んだら、ろくに温度もみに赤子の口に突っ込みやがった。間一髪救出とか……。酔っぱらって我が子を枕にして寝てて旦那の頭を思い切り蹴っ飛ばしたとか……。夕飯作れないと言ったら「ああ、大丈夫買って食べるよ」と、自分の分だけ買ってきて協力的だと言い張る馬鹿夫だとか……。うん、いろいろ見ましたね。
 この宿のご主人は、育児には協力的だったようだけれど、他はどうなんだろうか。酒を楽しそうに飲んでるおじさんたちを見る。見事に男の人ばかりだよなー。奥さんはどうしてるんだろう。家で子供の面倒見ながら食事?ある程度子供も大きければ亭主元気で留守がいいってことかな。うーん。まぁ、他の家の事情にまで首を突っ込んでも仕方がない。
「頼りになるか……」
 リュートさんが複雑そうな顔をした。

 リュートさんのおかげで、比較的ゆっくり夕飯を食べることができた。食べ終わった皿をカウンターに運ぶ。
 あ、そうだ。
「飲み終わった食器もセルフサービスなんで持って行ってあげてくださいね!」
 おじさんたちにも声をかける。
「了解!」
 了解と手を上げてはいるけど、酔っ払いはどこまで覚えているのか……。
 部屋に戻り、オムツが濡れていないことを確認。ヨリトを寝かせておもらししてシーツやベッドを汚すわけにもいかないどうしようかと思案してると、リュートさんが、ぽんっと手を打って、防水布を買ってくると出て行った。
 防水布なんてあるんだ。あ、そういえば油を塗ったり渋を塗ったりして防水性を高めた和紙で和傘はできてるんだよね。そういう加工すれば布も防水性が出るか。なんとなく日本だの感覚だと、防水イコールナイロンとかビニールみたいなイメージが強すぎて。化学繊維なんてないよなぁと思い込んでいた。
 知らないことだらけ。知らないことだらけだ。リュートさんが一緒でよかった。
「だー」
「もちろん、ヨリトも一緒でよかった」