反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

「うわー、各地の領主に密書って……戦争の準備でも始めてるのか?」
 せ、戦争?
 なんで?
「分からん。西国は賢者がいる。東国は勇者がいる。我が南国だけが聖女召喚に失敗続けているとなれば……肩身は狭いのは確かだろう」
 え?召喚って、別々の国?
「聖女がいなきゃ、南国に価値はないって西国と東国が攻めてくるっていうのか?」
「いやー、逆かもなぁ。どうせ3人そろうことはないんだから、賢者がいるからって関係ないとばかりにうちが攻め込むのかもしれない」
 思わず大きな声を出して否定する。
「「そんなことはない」」
 ん?
 あれ?リュートさんと顔を見合わせる。
 思わずはもってしまった。
 私が今いる国は、どうやら南国……南に位置していたりするんだろう。南国がどっかの国に攻め込むなんてことは、私が許さない。
 どこから攻め込まれ、守るために戦うのであれば、それは仕方がない。だけれど、こちらから戦争を仕掛けるようなことは絶対に許さない。
 ん……待てよ?
 西国と東国が攻め込もうとしてる可能性があるなら、同じように脅しをかけに行けばいいってこと?
 あ、それいい考えかも。戦争が起きてから私にできることはなんて考えるまえに、戦争が起きる前に何とかできるならしちゃえばいいよね。そうすると、西国もしくは東国に向かって旅をしつつ、魔力の底あげをして過ごそうかな。
「なんで、ないって言える?」
 おじさんの一人が首を傾げた。
「勇者や賢者は、そんなこと許すわけがない」
 なるほど。そうだよね。もし、召喚されるのが日本人なら戦争はよくないって教育を受けているだろうし。いや、教育を受けているとかいないとかじゃなく、日本人はわざわざ人の命を奪い合うなんてことを好んでするわけない……。特殊な人を除けば。
 ……特殊な人ってこともないよね?もしそうだったら、とっくに戦争起きてそうだし。
「どーだろうねぇ、その賢者や勇者がどれだけの抑止力になってるか」
「3人そろう希望があれば、殺すわけにはいかないし、協力してもらわないといけないわけだけど……」
「聖女召喚が失敗したとなると、3人そろわないからなぁ……次の聖女召喚は30年後だろう?勇者はさておき、賢者はそれまで生きてないだろうから、もう必要ない人間じゃないかな?」
 なっ、何てこと!