反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

「タダじゃないよ。えーっと、ヨリトの面倒を見てくれているお礼。あ、違うな、まだしばらく世話をお願いしたいから、その分も含めて、前払い?んー、買収?あー、それから」
 ヨリトの面倒は、自分がしたいからしてるだけ。
 ……もしかすると、現実……異世界へ召喚されてしまい知らない世界で一人きりということを考えるよりも、日常……赤ちゃんのお世話というある程度経験があって知っていることをするのが楽だから、これもある意味現実逃避なのかもしれない……。少なくとも、お礼してもらうようなことだとは思っていない。
 だけど、逆に言えば……。
 これを受け取れば、まだヨリトとリュートさんと一緒にいてもいいのかな?お礼を先払いで受け取っていますから、ちゃんとお世話しますと言えば……。一人でこの世界に放り出されないで済む?
 だけど、ヨリトは孤児院に連れていくんだよね……。

「俺の気持ち」
 え?
 顔を上げてリュートさんの顔を見ると、そっぽを向いてがりがりと頭をかいていた。
「深く考えないでほしい。俺が、頼子に渡したかったんだ。じゃぁ、着替えるのに俺邪魔だろう、行くからっ」
 リュートさんの気持ち?深く考えないようにっていうことは、深読みするなってこと……で、深い意味はないってこと……だよね?
 困っているときに助けてくれた感謝の気持ちとかそういうこと、かな?
 どちらにしても、着るものがない状態ではいられないので、ブラウスも脱いで干す。リュートさんが買ってきてくれたワンピースに袖を通す。
 ……誰にでも合うように作られているのか、かなり大きめだ。主に、胸元とウエストが。大きめなんじゃなくてこういうデザインかな。
 白ちゃんが持ってきてくれたものはもう少しスリムなデザインだったけれど、あれは、白ちゃんが私に合わせて選んでくれたからってこと?
「ありがとう。着心地がいいです」
 ごわごわしてない。柔らかな布だ。それできて着古した感のないたぶん新品で。高そうだけど、もう値段は気にしない」
「よかった」
 マチルダさんの家の前で待っていたリュートさんにもう一度お礼を言う。
「ところで頼子は、行くあてはあるのか?」
 行くあて?