反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 減らりと笑ってごまかす。
「あとでまたゆっくり見に来ようか」
 リュートさんの提案に素直に頷く。
「そうですね」
 ん?
 それは一緒にってこと?行動を共にする約束なんてしてないけど……つき合わせちゃっていいんでしょうか?
 適当に買い物をして戻ると、マチルダさんは赤ちゃん……うちの子を抱っこして背中をポンポンしているところだった。
 げぷっ。と、大きなげっぷを吐き出す。
「ありがとうございます!飲ませてくださったんですね!」
 赤ちゃん……うちの子じゃないんだけど、うちの赤ちゃんを受け取ると、マチルダさんはニコニコっと笑った。
「こちらこそ。マーサよりもしっかり吸ってくれたから、ちょっと楽になったみたい」
 張りにはってがちがちになった胸が柔らかくなったように見える。
 マーサちゃんはいっぱい泣いた後いっぱい飲んで満足したのか、すやすやと眠っていた。
「何が好みか分からなかったので、適当に買ってきました。食べてください」
 と、買い物してきたものをテーブルに置いて、すぐに食べられる野菜と鶏肉を串に刺して焼いた物と、果物を差し出した。

「いいんですか?」
「お礼なので……あと、えーっと、また、お願いしてもいいですか?」
 ちらりと赤ちゃんを見る。
「ええ、それはもちろん。こちらも、また熱が出ることを考えるとありがたいです」
 ほっ。これで乳母ゲットです。
「じゃぁ、食べてて。これ、洗ってくるわね。えーっと、洗濯場はどこにあるのかな?」
「あ、そこまでしてもらうわけには!」
「ううん、いいの。助け合いっていうか、私たち、この街に来たばかりなので、洗濯しながら街のこといろいろ聞きたいから」
 と、申し訳なさなそうな顔をしているマチルダさんに主張する。
「ああ、それならハルヤさんがいたら、情報通なのでいろいろ教えてくれると思うわ」
 マチルダさんが納得してくれたようだ。やっぱり洗濯場は女性の情報交換の場になってるんで正解だったみたい。
「じゃぁ、言ってくるね。リュートさん、おんぶ紐を貸してくれる?」
 リュークがおんぶしていた紐を取り出して、広げる。紐というより帯か。
「俺が面倒見てるよ」
 にっと笑う。
「新参者が手っ取り早く輪に入るには、赤ちゃんがいたほうがいいのよ」
 リュートさんが頭をかいた。
「そういうもん……なのか。じゃぁ、せめて洗濯場まで桶は運ぶよ」