反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 改めてリュートさんの姿を見ても、剣は持っていないように見える。
「あー、違うが、似たようなもんか、んー、何ていえばいいかな」
 と、言葉に迷っている。この世界の「職業」的な話もよく分からないので、まぁ聞いても理解できるか分からないのと、自分のことを尋ねられても困るので深くは聞きませんよ。
「あの辺で食料品買えそうですね」
 市場のように露店が並ぶ場所を見つけて指をさす。
「ああ、そうだな。どの街も基本は同じだな。王都とはいえ特別ってことはないか」
 王都。そういえば、お城から出てきたんだから、ここは王都になるのか。
「うわぁ、すごい!」

 色とりどりの野菜や果物、それから干した肉に魚。
 見たことのない食べ物が所狭しと並んでいて。
 大、興、奮!カフェ店長ですから。新しい食材、新しいメニュー、新しいムーブメント。食材へのアンテナは常に張っていた。
 こんなに、知らない食べ物がたくさんっ!
「ああ、本当だな。さすがに王都だ。店の数も品の種類も多いな」
 リュートさんの言葉にはっとする。
 あんまり物を知らな過ぎても怪しまれるか。落ち着こう。少し落ち着いて。
 よく見て、触ってにおいをかげばある程度想像できる品もある。
 細長いけど、糸かぼちゃとかそれっぽい感じのものを手にとって店の人に聞く。
「どうやって食べると美味しいですか?」
 コミュニケーションという名の情報収集。
 生で食べられるか火を通すかさえわからないので。
「ゆでるより蒸し焼きにした方が上手いぞ。甘味が逃げないからな。ちょっと塩を振るとまた甘味が増す」
 なるほど。かぼちゃっぽいと思ったのは正解かな?ゆでると水っぽくなる系のやつかな。うむうむ。
 と、いろいろ手に取ってお店の人に教えてもらっていたら、リュートさんが不思議そうな顔をして私を見ていた。
「料理するつもりか?」
「え?」
「すぐ食べられる物を買っていった方がいいんじゃないか?」
 し、しまった!
 そうでした。マチルダさんに食べてもらうものを買いに来たんだ。今から料理とか食べられるまでにどれだけかかるのかと。
 そもそも料理しようにも、する場所がないよね。さすがにマチルダさんの台所借りるというのも……重ね重ね面倒をかけ過ぎというか……。
「あ、そうでした。つい。王都は、見たことがない食材がいっぱいで、えっと、好奇心が……」