反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 古着屋ものぞいてみようか。どちらにしても、すぐには数がそろわない。もらった見本のおむつを見ると、手縫いで作られている。
 布端がほつれないように縫ってある。日本の輪っかの形じゃないんだ。単に長い布。サイズを覚えるためだけなのかな。これじゃぁ、ただのふんどしみたい。
 あ、もしかしておむつとして使い終わった後、ふんどしにして使うとか、言わないよね?
 と、広げて見本のおむつを見ていると、店の外で待っていたリュートさんが不思議そうな顔をした。
「それがおむつか?ふんどしみたいだな」
 ぷっ。
 リュートさんも同じこと思ったんだ。……って、ふんどしってこの世界にもあるってこと?っていうか、リュートさん……。
 ちらりと顔を見る。
 塩顔。整った感じで、主役じゃないけれど、メインキャストを務めそうな俳優顔。身長180センチ前後でひょろりとしてなくて、ムキムキでもなくて、鍛えているアスリートのような体形。んー、ラグビー体形とか野球体形じゃなくてサッカー体形?いや、ひょっとすると腹筋われてるボクシング体形かも?というその……まぁ、さえないおっさんどころか、日本じゃメタボとは縁遠い意識高い系っぽいおっさんが……。
 いや、おっさんは失礼か。そのリュートさんが……。ふんどし?
 ふんどし姿のリュートさんを想像する。
 うはっ。想像したくてしたんじゃないよ。たまに思い浮かんじゃっただけ。愛知県の裸祭が思い浮かんだ。みんなふんどし一丁で男衆がわーっと集まる……ん?あれって、何かを奪い合うんだっけ?なんの祭り何だろう?走って一番を目指すものとも違うんだよね。
 リュートさんと目があった。
「ふんどし、知ってるんだ。日本街出身のお父さんがふんどしだった?俺は残念ながら、絞め方とか知らないんだよなぁ」
 あ、そうでしたか。リュートさんはふんどしじゃなかったんですね。
 赤ちゃんがリュートの背中で不機嫌そうな顔をしている。

「あー、ごめん、ごめん。お尻気持ち悪かったよねぇ。おむつ買ったからね」
 とはいえ、ちょっと待って。おむつがあっても知識がない。
 やっぱりここは、食堂の3件隣の家に頼るべきだよね。
「急ぎましょう、リュートさん」
 と、リュートさんと一緒にしょくどうの3件先の家に向かう。
「ほんぎゃー、ほんぎゃー」
 ああ、早速赤ちゃんの泣き声だ。