反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 となれば、布おむつも、新品を買って使うことなんてほとんどないんだ。……人の使ったおむつか……。
 現代日本人からすると、なんだかすごぉく抵抗感があるんだけど、そんなこと言ってられないよね。
 初めての赤ちゃんが生まれるときだけ、腹帯から新しく布おむつを作るっていうのも分かる。その先は上の子のおむつ、近所のおにいちゃんおねえちゃん、親戚の人とか、おむついるかい?なんていわれるのも……普通。うん、普通。
 よし。腹をくくろう。
「腹帯は、布屋に行けばおいてあると思うよ。おむつカバーは、変えが必要ならそのときに一緒に買えるだろうし。おむつの形になってるのは、そうだねぇ、古着屋あたりにあるかどうか……」
「はい。ありがとうございます。あの、早速探してみます。えっと、食事の代金を」
 と、巾着を取り出すと、おかみさんが店員さんの娘を振り返った。
「ああ、もう旦那さん……じゃない、えーっと、お連れの方からいただいてますよ」
 え?
 割り勘でって言ったのにな?
「ごちそうさまでした。スープは野菜の甘味がとても美味しかったです。お肉の味付けも素晴らしかったです」
 ぺこりと頭を下げて店を出る。
 あれ?
 いない。

 店を出てきょろきょろとあたりを見回すけれど、リュートさんの姿も赤ちゃんの姿もなかった。
 ……。置いて、行かれた……?
「あー、お待たせ!」
「リュートさん!」
 後ろから声をかけられ、振り返るとそこには……。
「え?それ……」
 赤ちゃんをおんぶ紐で背負っているリュートさんの姿が。
「背負ってやれと言われて、そこで布買って背負い方教えてもらった。どうも、この胸当てが当たって抱っこは居心地が悪いらしい」
 確かに、リュートさんは胸当てをしたまま抱っこしていて、金属よりはましだろうけれど、革でできた堅そうな胸当てが当たるのは赤ちゃんは居心地が悪いだろう。
「あの、孤児院の……」
「あ、そうか。孤児院にすぐに預けるのに、わざわざ紐を買うこともなかったか……」
 リュートさんがはっと私の顔を見る。
「いえ、その……ごめんなさい。孤児院の場所を聞きそびれました。それで、その、代わりに……おむつとか売っている場所を教えてもらったんですけど」
 そうだよね。
 おんぶ紐もいらないけど、おむつもすぐに孤児院に預けるなら必要ない。