「頼子……抱っこする姿が、ずいぶん慣れてるようだが、その……君は子持ち、なのか?」
リュートさんが食べる手を止めて私を見ている。
「結婚もしてませんよ?」
リュートさんが、笑う。
「それはよかった」
いい?
「いや、あんまりよくありませんけどね」
リュートさんが、パンを食べやすい大きさにちぎって私の皿に置いてくれる。
妹の子供の面倒を見ている間、友達は次々と結婚していった。
うん、すっかりなんか波に乗り遅れちゃったんだよね。気がつけば彼氏もいないまま30歳。
「いいことだろ。独身だから、運命と向き合える」
ニコニコ笑ってますけど、運命って何?
まさか、異世界に聖女として召喚されてしまった運命のこと?いや、知るはずないか。
……でもまぁ、リュートさんの言う通りなのかもしれない。もし、結婚して子供がいたら……。こんな気持ちでいることなんてできなかったかも。
確かに妹や友達と会えないのは辛いし、せっかく楽しかった仕事を手放すことになったのは悔しい。
でも、正直……それだけだ。
それだけって言うのも変だけど。やっぱり、子供を置いてとなったら、全然違ったと思う。
腕の中ですやすや寝息を立てている赤ちゃんの顔を覗き込む。
どうして……、なんの事情があって手放してしまったのか……。
「すまん、いや、なんか辛い思い出でもあったか?その、婚約者が事故で亡くなったとか……だとしたら心無いことを言った……」
「いえ、大丈夫ですよ。ここ数年は婚約者どころか彼氏もいませんでしたから」
私の言葉に、リュートさんがまた笑った。
◆
「それは運がいい」
は?運がいい?
恋愛運が悪いの間違いでは?
いや、違うか。
「運がいいとは思いませんよ……」
異世界に召喚される運命って、よほど運が悪いとしか思えないでしょ?
「いや、運がいいのは俺の方。独身の君に会えた」
は?なんか口説こうとでもしてます?いや、それはないか。自意識過剰で勘違いしそうですけど。
「あー、人妻なら、確かに……こうして赤ちゃんのためとはいえ男性と食事はとったりしませんね」
ふっとおかしくなる。
「赤ちゃんの……ため、ああ、いや、そうだった。君は優しい人だ」
優しい……か。優しいんじゃないよ。
だって、世界を救わないんだもん……。ずきりと胸の奥が痛む。
リュートさんが食べる手を止めて私を見ている。
「結婚もしてませんよ?」
リュートさんが、笑う。
「それはよかった」
いい?
「いや、あんまりよくありませんけどね」
リュートさんが、パンを食べやすい大きさにちぎって私の皿に置いてくれる。
妹の子供の面倒を見ている間、友達は次々と結婚していった。
うん、すっかりなんか波に乗り遅れちゃったんだよね。気がつけば彼氏もいないまま30歳。
「いいことだろ。独身だから、運命と向き合える」
ニコニコ笑ってますけど、運命って何?
まさか、異世界に聖女として召喚されてしまった運命のこと?いや、知るはずないか。
……でもまぁ、リュートさんの言う通りなのかもしれない。もし、結婚して子供がいたら……。こんな気持ちでいることなんてできなかったかも。
確かに妹や友達と会えないのは辛いし、せっかく楽しかった仕事を手放すことになったのは悔しい。
でも、正直……それだけだ。
それだけって言うのも変だけど。やっぱり、子供を置いてとなったら、全然違ったと思う。
腕の中ですやすや寝息を立てている赤ちゃんの顔を覗き込む。
どうして……、なんの事情があって手放してしまったのか……。
「すまん、いや、なんか辛い思い出でもあったか?その、婚約者が事故で亡くなったとか……だとしたら心無いことを言った……」
「いえ、大丈夫ですよ。ここ数年は婚約者どころか彼氏もいませんでしたから」
私の言葉に、リュートさんがまた笑った。
◆
「それは運がいい」
は?運がいい?
恋愛運が悪いの間違いでは?
いや、違うか。
「運がいいとは思いませんよ……」
異世界に召喚される運命って、よほど運が悪いとしか思えないでしょ?
「いや、運がいいのは俺の方。独身の君に会えた」
は?なんか口説こうとでもしてます?いや、それはないか。自意識過剰で勘違いしそうですけど。
「あー、人妻なら、確かに……こうして赤ちゃんのためとはいえ男性と食事はとったりしませんね」
ふっとおかしくなる。
「赤ちゃんの……ため、ああ、いや、そうだった。君は優しい人だ」
優しい……か。優しいんじゃないよ。
だって、世界を救わないんだもん……。ずきりと胸の奥が痛む。


